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アンティノミーとダイヤモンド

シギハラヨシアキが綴る内省する心。
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先日、病院に行く機会があった。
近くの町医者だから、清潔感はあるが少しこぢんまりとしている。
院内はまぁ当たり前の事だが、とにかく御老人ばっかりだった。


高齢化社会を肌で感じる。日本の行く末を考え、今こそ若者が立ち上がらなければと一人気を吐く。
そう、病院で。


しばらくそんな事を考えていたら、いつの間にかうとうとと眠ってしまったようだ。
ふと、目が覚める。変わらない待合室。の様に感じた。
感じたというのは正確には単に視覚的にという意味だ。


いや、待てよ。何かが変だ…。


辺りをじっくりと見渡す。しばらくして、僕はある事に気付いた。


不思議な事になぜかまわり全員が十人弱いるにも関わらず、女性だけだった。要は、全員がおばあちゃんで男性が僕一人という事だ。


ただの偶然か…。


女性の方が長生きとは言うけれど何か関係があるのか?
いや待てよ。この待合室の、何となく感じる違和感はなんだ。
僕が眠っている隙に、何か目に見えない力によって異空間へと誘われたのか?


ここはさっきまでいた病院ではないのか?!


疑いだしたら、全てが嘘臭く思えてくる。
そう、この異様な静けささえも余計に。


僕は決して動揺を気付かれない様に、眼球だけを動かして一人一人おばあちゃんの表情を汲み取っていく。


ドクンッドクンッ。自分の心臓の音だけが一定のリズムを刻んでいる。
そのあまりの音の大きさに、緊張は頂点に達した。
背中に一滴の汗が流れて、思わず声を出しそうになった。
が必死でそれを喉の奥で噛み殺した。


皆、一様に仏のような慈悲深い笑顔ですましている。


余計に、嘘臭い…。


僕は何かの視線を感じて、思わず本棚に目を向ける。
次の瞬間、僕はハッ!と悲鳴にも似た声をついに上げてしまった。


本棚には、しっかりと最新号までコンプリートされた二十代メンズファッション雑誌「Men's JOKER」の背表紙が見えた。


なぜだ!
この高齢化社会の縮図みたいな場所で、一体誰がこの雑誌のページをめくるというのだ!
待合室を全て覆い尽くす程の違和感の正体はきっとコイツだ!


そして、その恐るべき衝撃的な事実にも気付いてしまった。
JOKERばっかり。ババばっかり。まわりは婆ばっかり…。


嘘のような、本当のお話し。
どうでも良くないような、どうでも良い話し。
皆様の貴重なお時間、お付き合い頂き有難うございました。
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プロフィール
HN:
シギハラヨシアキ
年齢:
45
性別:
男性
誕生日:
1979/04/22
趣味:
牛乳パックをハサミで切り開く事。
自己紹介:
自分の存在価値を見出したいという理由から、天下を取りたい!と爽やかに言い放つ店崎君と'07年1月「エレファン&ティノミー」結成。'10年4月「じなんぼ~いず」に改名。
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