もう冬がそこまで来ている。
一年を一日に例えるならば１０月は夜の１０時頃と上手く言いたい所だが、十二ヶ月しかないから僕にとっては夜中の０時過ぎといったところだ。


毎年思う事がある。
これから明け方に向かい、孤独感と馴れ合いながら明日はどんな一日にしようと思慮深くなり、神経は嫌に研ぎ澄まされていく。
すると、目線は明日から明後日、来週に来月来年、はたまた死に際までにイメージが膨らみ全て保守的に考えなくなる。
寒風吹きすさぶ中を一人、歩き出したくなる。


よく人恋しい季節と言われるが僕にとっては真逆に等しいくらい。
あまり淋しがり屋じゃないから人恋しい季節などそもそもないが、特にこの季節は人疎ましい季節になる。
決して嫌だと言う事ではないです！（笑）


生きていてまだ何も成し遂げていない自分に辟易し、それと同時に早く歩き出さなければと自分のケツをそれは強く叩く。


これが良い事なのかは今だに分からない。
しかし、知り合いの尊敬する方に、あなたは辺りが寒い季節になると集中力が一気に高まるタイプだと言われた事を思い出す。


冷えだした外気がそうさせるのか。
とてもよく澄んだ空気がそうさせるのか。
突き抜ける夜空の高さと、そこに煌めく星がそうさせるのか。


「花ゲリラ」という邦画を深夜に見た。
慎ましくささやかで、とても静かな映画。
何ともない日常の中で、ほんの少しのメッセージ。
些細な心情を紡ぎ出す、何ともない物語。
そして、金鶏菊。


この何ともない毎日にはこのくらいのメッセージが調度良いのだ。


とにかく視線は遥か後方を見ている。
それゆえの挫折感と高揚感を両手いっぱいに抱えながら。