今までの人生は決して後悔していない。
まだ、後悔と言えるほど生きてないかもしれない。


ただ、今、どうしようも出来ない事があって、ただ目の前に訪れる状況があって、自分はただそれを受け入れる事しか出来ない。


例え過去に戻れるとしても、一瞬一瞬真剣に選択した集合体がこの今で、何度繰り返しても大差はない。


全てはいびつな自分の、その生き方が招いた事で、ようはそれが「自分」という事だ。


とにかく、一つの要素、一つのカケラは失くなってしまった。
それは、前から十分わかっていた事だ。


いや、失くなったんじゃなくてこれで完成されたのか。
そして、これからが始まりなのかもしれない。


中途半端に半ば日課となっているジョギングに出た。


しかし、ひたすら歩いた。


呟いたかは覚えてはいない。
生きるってなかなか上手くいかない。


ただ、やめるわけにはいかない。


もう少し、このいびつな自分と付き合って、選んだこの意味を、価値を見出ださなければいけない。


東京も、空模様が安定しない。
でも崩れるその前にと、洗濯機を一度まわした。


干そうとしたら、靴下の片方がどうしても見つからない。


そうなると、靴下はもう靴下としての価値を失って何物でもなくなる。
途端にそれはただの綿、ただの布だ。


「でも 好きな人には好きって伝えるんだ」


安いスピーカーからは、Aqua Timezが流れている。

昨夜見たドラマで、心は大切な人から貰うという台詞があった。


大丈夫だ。
か細く灯る、心がある。
幸せを願っている。


全部干し終えたら、靴下を買いに行く、と自分に理由をつけて外に出よう。