深夜２時すぎの大手牛丼チェーン店。

ただでさえ並盛りでも多いが、なんかやんちゃ感を自分の中に出したくて豚丼の大盛を初めて頼んだ。
いつも思うが水がうまい。
どうみても水道水の様だが、備え付けの浄水器でもあるのだろうか。

一気に飲み干す。
すると珍しく店員がおばちゃんで、「お冷や入りますか？」と人情身が感じられる接客だ。

外では若い酔っ払いの鳶風兄ちゃん二人が、車の向きがどうのこうので喧嘩をしている。
泥酔のためか緊迫な雰囲気にはまったくならず。

店内では向かいのカウンターに小太りで若ハゲな青年がいかにも内気そうに丼を突いている。
丼があったら入りたい。そんなことわざがあったらぴったりだ。

弁当を買いに来た中年サラリーマンが券を出した。
店員は言う。「カルビ定食ダブル！ご飯大盛一丁！豚汁変更一杯！」

こんな時間にあなたも結構やんちゃ感出すね～。独身？

先程の酔っ払いに何やら今度はおばちゃんの酔っ払い二人がからんでいる。おばちゃんが蹴る真似をして、お兄ちゃんが倒れる真似をしている。

例によって舌がグルメじゃない自分はあまりの旨さに豚丼を一気に平らげた。
「ごちそうさま。」わざと大きな声を出して店内の注目を浴びて店を後にする。

外は深夜だというのに生暖かい。もう春ですか。
自分もこの街の人達にはどう写っているのだろう。
四年も住んでだいぶ馴染めただろうか。

「時間」について噛み締める。

何が言いたいかというと、深夜が好きだ。
皆、一時のしがらみ、呪縛のようなものから解放される瞬間。
そして、この街も嫌いじゃないということ。

それに応える様に、遠くで犬が吠えている。