電車に乗ってる。
ふと目線を感じてその方を見る。
すると生後何ヶ月かの母親に抱かれた赤ちゃんと目があった。


一瞬で身を硬くしてしまった。
それは、笑顔なんかじゃなくて凄く澄んでいて大人びた視線でこちらをじっと見据えていたからだ。
何かを見透かされているようだった。


そしてまるで、「私は最近産み落とされた者なのですが、この世界はあなたにとってどうですか？住みやすい所ですか？それにしてもあなた、少し疲れているようですね。」と投げ掛けられているようだった。


子供のうちは感性と本能だけで生き、大人に見えないモノが見えるとよくいう。


僕は何も答えられず、作り笑いをするのが精一杯。ぎこちなくなってしまった。


電車を降りる時、ベビーカーを押すお母さんが戸口にいるにも関わらず、カートを押す老人が我先にと押しのけてホームに降りた。


僕は別れ際その赤ちゃんにこう呟いた。
「あなたにこの世界を託すにはまだ若すぎる。あの老人にこの世界を任すには遅すぎる。頼りないかもしれませんが僕らが何とかしますから。」
そこまで言うと作り笑いがやっと綻んだ。


そんな僕自身、先日三十歳になりました。
この場を借りましてお祝いをして下さった方々、またお祝いをして下さってなくてもお世話になっている方々にお礼を述べたいと思います。
大きくなりました！有難うございました！
還暦まであと半分、頑張ります！m(__)m